ごきげんよう、おふとんです。
この記事は「軟口蓋裂の息子との記録」を小分けにして記事にしています。
軟口蓋裂に関する記事は下記のリンクにてまとめておりますので、ご利用くださいませ。

前置き

この記事は軟口蓋裂とは一体何か、軟口蓋裂の子供との生活はどんな感じなのかを書いています。

時間がないあなたのために、質問形式にしてなるべく簡潔に読めるように頑張っております。
詳しく書くこともできるのですが、私は無駄話で文章が長くなる癖があるのです…。
もっと詳しく聞きたいことなどございましたら、おふとんTwitterお問い合わせからご連絡ください!
私たち家族だけの体験ではありますが、お答えできると思います。

Q & A

Q. 軟口蓋裂(なんこうがいれつ)ってなに?

「のどちんこがない」というよりも左右に裂けてしまっている

のどちんこあたりがぱっくり左右に裂けている先天性の形態異常のことです。
「口蓋」というのは口の中の天井らへんのことでして、
硬口蓋」が歯の後ろらへんの硬い部分、「軟口蓋」がのどちんこらへんの柔らかい部分のことを言います。

どこまで裂けているのかによって言い方が変わります。
私の息子は、軟口蓋のみで硬口蓋までは裂けていない形態だったので、「軟口蓋裂」です。

ちなみに唇のほうまで裂けている「口唇裂」という形態もあります。
漫画の「コウノドリ」でも題材になっていました。
息子の軟口蓋裂とは違い、口唇裂は見た目に影響があるためかなり衝撃的だと思います。
妊娠中にエコーで見ても分かるようですね(コウノドリ情報w)

息子の場合は口内の形態異常だっため、産まれてからしばらくは誰も気づきませんでした。
けれど呼吸障害で産後すぐにNICUに入院していたので、それでも早く気づけたほうなのだと思います。

おふとん
おふとん

入院していなかったらいつ気づけたんだろ…

Q. 治るの?

治ります。

1歳から1歳半ぐらいに裂けてる部分を閉じる手術をします。
息子は1歳6ヵ月(2018年8月末)の時に手術をしました。

もうすぐ2歳(2019年2月)になる息子の口蓋は、しっかりと閉じていてとても綺麗です。
現在は、言語治療をおこなうために定期的に病院へ通っています。
まだ言葉をあまり話さないので、直接的な治療はおこなっていません。
小学生に上がる前ぐらいまでは、定期的にトレーニングをおこなっていくようです。

手術や入院期間のことに関しては、次回の記事で詳しくお伝えできればと思っています!

Q. 軟口蓋裂だとどうなるの?

これは当時の私が一番気になることでした。

母乳が飲めない

口蓋裂でも飲める赤ちゃんはいるようですが、息子は一度も飲めませんでした。
これにはしっかりと理由があります。
のどちんこらへんは、口内を密閉する機能があるそうです。
さらに筋肉が裂けてしまっているためうまく動作できないようです。
そのために息子は「吸う」という動作が一切できませんでした。

さらに「舌小帯」という舌の異常もありました。
「舌小帯」とは舌の下にある線(ビラビラしてるやつ)が短いことです。舌の可動範囲がとても狭くなります。
息子は手術を終えるまで、口内から舌をべーっと出したことがありませんでした。

ということで、乳首をくわえることはできても吸うことができないのです。
母乳をあげることができない」という現実に最初はとても戸惑いました。
楽しみにしていることの一つだったからです。叶いませんでした。悲しい。

夫のお母さんに伝える時もドキドキしました。
ミルクで育てることに対して否定的かもしれないと思ったからです。
けれど、夫のお母さんも2人の子供をミルクで育てたと言っていました。母乳が出ず断念したそうです。

ミルクでも母乳でも人は育つというのは本当です。
ミルクで育った夫や夫のお兄ちゃんは、心も体も超大きくイケメンに育ちました!

私の母親のほうがミルクで育てることを残念がっているようでした。
まあ、できないものはしょうがないですね。

言語障害が残る可能性がある

のどちんこらへんは、言葉を発する時にとても大事な役割を果たしているそうです。
何も考えずに大人になった私にとっては、自分自身が言葉を発する時に
どんな風にのどちんこを使っているのかまったく分からないです。が、とにかく大事な部分だそうですよ!

手術をしたあとは言葉をしっかり話せるように、経過を見つつトレーニングをしてゆくことになります。

中耳炎になりやすい

口、鼻、耳はつながっているため、口唇口蓋裂の子は中耳炎になりやすいそうです。
そのため1歳の時に耳鼻科で検査をしてもらったのですが、
息子は慢性的な中耳炎と言われました。
なんだったら産まれてからずっと中耳炎だったのでは?と。

通常の中耳炎は痛みも伴うので分かりやすいのですが、
痛みを伴わない、あるいは慢性化してそれが通常だと認識していたため、
息子も私も耳にはまったく無頓着でした。

軟口蓋裂の手術と一緒に、中耳炎の手術もしてもらいました。

合併症を伴うことが多い

軟口蓋裂だと分かってから主治医に言われたことです。
結果的には口蓋裂以外の症状はなかったのですが、検査をするたびにドキドキしていました。

Q. ミルクはちゃんと飲めるの?

母乳を吸うことができなかったとお話しましたが、ミルクを飲ませるのは苦労の連続でした。

「吸うことができない」ということは、哺乳瓶の乳首も使うことができないということです。
NICUの入院中の時から色々なブランドの乳首を試しては変え、試しては変え、ということを繰り返しました。
通常に売られている乳首では飲めないということが分かり、口唇口蓋裂用の乳首を試すことになりました。
専用の乳首も何種類かあり、色々試していくうちに息子に合うものが見つかりました。

ただその乳首でも飲むスピードがとても遅く、途中で寝てしまうことは何度も…。
そんな時には残りのミルクを鼻のチューブから直接流し込んでいました。
飲ませ方にはコツがあり、私たちは入院中必死に練習しました。
これができないと息子は退院できないですからね。

成長して体力がつく & 飲むコツが分かってくる & 飲ませる大人もコツが分かってくる

ということで、徐々に飲む量やスピードが早くなってゆきました。
退院してからも「飲むスピード」というのはとてもとても大事でした。
早すぎると飲んだミルクを吐いてしまうためです。
哺乳瓶の説明書にもだいたいの目安時間の記載があります。

とにかく鼻から口からミルクを吐く

(こんな画像を公開してしまい息子よすまん)
寝顔を撮ったタイミングで吹き出すミルク。今では良い思い出ですなあ

産まれたばかりの赤ちゃんの胃の形は垂直で、成長してゆくとともに形が変わってゆきます。
垂直ということは、飲んだミルクを吐きやすいということです。

息子は本当に吐く赤ちゃんでした。
「飲んだやつ全部吐いたんじゃないか…?」というぐらい吐きました。
何しても吐く、吐かない時はありませんでした。

軟口蓋裂のせいで飲んだものを制御する壁がないので、
鼻のほうにまでミルクが戻ってしまい、滝のように出ます。
飲んだ後にゲップをさせようと体勢を変えるだけで鼻からミルクを出すのです。
本当に地獄みたいでした。
ゲップをさせてから寝かせしばらくすると、鼻から大量のミルクを出して敷物をよく汚していました。
本人はまったく気にならないらしく、無表情で鼻からだしていましたw

レジャーシートは重宝します!
寝るたびにミルクを吐いていたので、我が家の布団はレジャーシートが大活躍! 布団の上に→レジャーシート→バスタオルの順に敷いていました。
寝返りができるようになると胃を圧迫するため、寝ないでもミルクを吐くようになったので、日中はレジャーシートの上で遊ばせていました。

哺乳瓶の乳首は買い置き推奨

哺乳瓶の乳首は消耗品です。
軟口蓋裂用の乳首は、吸わずに乳首を噛むだけでミルクが出るようなっていて、
それを実現しているのが逆流防止弁というフタのようなものでした。

これを乳首に装着してから飲ませるのですが、使っていくうちにゆるくなり取れやすくなります。
逆流防止弁が外れてしまうと、息子はミルクを飲むことができないのです。
ゆるくなるのは突然のことなので、外出中にも頻繁に起こりました。

通常の乳首は薬局にも売っています。
けれど、軟口蓋裂用の乳首は本当にどこにも売っていませんでした。
薬局にはまず売っていません。赤ちゃん本舗にも西松屋にも売っていないのです。

予備がないと本当に命の危険を感じます。ミルクを飲めないのですから。スプーンという手もありますが。
外出する際は、新品の予備も必ず持っていました。家にもつねにストックがある状態。

息子が使用していたのはピジョンの哺乳瓶でした。

哺乳瓶は2つ購入し、離乳するまでに買った乳首の総数は26個(2セット×13個)でした。
本当に消耗品なので覚悟したほうがよいです(ブランドにもよるかもしれませんが)
乳首はスモールと通常のサイズがあるのですが、子供の成長や口の大きさで決めるとよいです。
上記の哺乳器セットにはどちらのサイズも入っているので便利です。
どちらも試しましたが、あまり変わらない気もします。サイズはけっこう違うんですけどね。
息子はスモールサイズを特に愛用していました。

ちなみに、飲むスピードが速すぎると鼻からめちゃめちゃにミルクを出すので、休憩を入れたりして様子を見ながらあげていました。

Q. Hots床(ホッツ床)って何?

歯磨きする時以外ずっと装着。成長に合わせて一度作り直した。思い出の品で大切に保管しているよ

のどちんこの代わりになる器具です。入れ歯みたくカポっと装着します。
生後すぐに使い始めて慣れているので、日常で嫌がっている姿は見られませんでした。
手術する少し前まで、歯磨きする時以外はずっと装着していました。

ホッツ床を使うのかは主治医によって違うようです。
これをつけることで、ミルクが飲みやすくなったり鼻にミルクが戻りづらくなったりするようなのですが、
効果はいまいちよく分かりませんでした。

赤ちゃんの口内はどんどん大きくなるので、定期的に口腔外科へ行ってホッツ床のメンテナンス(主に削る)をしてもらいました。
少し柔らかい素材でできているため、ある程度は成長とともに広がるようです。

ちなみにNICUの入院が長引いた理由の一つは、このホッツ床を作る時間と慣らす時間が必要だったからです。
口内の型取りをして作っていました。(世界に一つだけのホッツ床!!)

Q. 離乳食は?

軟口蓋裂やホッツ床が障害になることはありませんでしたね。
生後6、7ヵ月ぐらいからあげはじめました。
この頃にはミルクをべらぼうに飲むようになっていたので、離乳食もスムーズに食べることができました。(食べない時も多かったですが。)
軟口蓋裂だということを忘れるぐらいにはよく食べていました。

おふとん
おふとん

手術が終わった今も超大食い!

固形物を食べる上では障害はあまりなさそうでした。

Q. 保育園に入れるの?

認可保育園に無事入れました!
「軟口蓋裂だから入園できない」ということはないです。

申請書類は早めの行動を!

保育園に入園するために市役所に行ったりすると思うのですが、必ず軟口蓋裂のことを話してください
どんな症状で、いつぐらいに手術をするのか、園生活での注意点などです。
提出する書類も増える可能性があるので(私は増えました)、しっかりと相談したほうがよいです。
私が提出した書類は、主治医が書かなければいけないものだったので一波乱ありました。

息子がお世話になっている科は、

  • 歯科口腔外科
  • 形成外科
  • リハビリテーション科
  • 小児科
  • 耳鼻咽頭科

と1つではなかったため、誰に書いてもらえばいいのか分からず混乱しました。
相談しようにも病院はつねに電話が繋がらず(大きな病院特有ですね)、担当医も毎日いるような人たちではなかったため

おふとん
おふとん

もっと早く相談しておけばよかった…申請に間に合うんか…

となりました。
保育園関連は、今後の生活に大きく影響しますのでね、とにかく余裕を持って挑みましょう!

結局申請時期には間に合わないことが分かったので、区役所に相談してあとから提出したのでした。本当に血の気がひいた…。

園生活は不自由なし!

他の子供たちと同じように過ごすことができています。

ホッツ床はしっかりと固定されていて取れるということもなかったため、特に注意点もありませんでした。

園のみなさまに毎日感謝です!

Q. 日常生活で不便なことは?


飲み物をこぼす

園にも伝えたことですが、コップやペットボトルは大量にこぼしながら飲みます
口の左右からじゃーじゃーとこぼしますので、外出時の荷物に大きなタオルは必須でした!
軟口蓋裂だからなのか、赤ちゃんはこんな感じなのか初めは分からなかったのですが、手術後はまったくこぼさなくなりました。
吸うことができないからなのかなあと感じます。
意識をしていませんが、飲み物を飲む時って吸う力を使ってるんですよね。

ストローはもちろん使えませんでした。もうすぐ2歳になる今でも苦手です(ほのぼのと練習中)。

病院通い不可避

手術前も手術後も、とにかく定期検診ばっかりです。
仕事復帰後も定期検診は変わらずにあるので、仕事に支障がでることはある程度覚悟したほうが良いです。

診てもらう科が多く、検診日がばらけてしまうことも多々ありました。
全部同じ日というのが一番いいのですけどね…。

妊娠前は正社員で働いておりましたが、時給換算での働き方に変えました。

搾乳(さくにゅう)機について書きたい

生後2、3ヵ月ぐらいは搾乳機を使用して毎日母乳を飲ませていました。
搾乳できる母乳がだんだんと少なくなってしまい、途中で完全ミルクに切り替えました。
母乳が少なくなることは悲しいことでもあったのですが、少し嬉しさもありました。

なぜなら搾乳がとても面倒だったからです。
2、3ヵ月ぐらい頑張ったからいいよね?ね?という感じです。

搾乳機は2つ使用していました。
初めは手動の搾乳機。

ピジョンの搾乳機を使っていました。

自分でスピードを調節できるし電気も使わないためお手軽感が良かったのですが、
手が本当に痛くなります。腱鞘炎になりそう。
だんだんと苦痛になり自動搾乳機を使うことに!

メデラの搾乳機を使っていました。
これはとてもよかった!疲れていても勝手に搾乳してくれます。

自動を使うと手動には戻れないですね。
機械音はありますが、赤ちゃんが起きないぐらいの音量です。
特に感動したのは、搾乳の力加減やスピードを調整してくれるところ。
赤ちゃんが飲んでる感じを再現したようです。

ただこの感動も長くは続きませんでした。
数時間ごとに飲むミルクを毎回搾乳…それ自体がだんだんと苦痛になってしまったのです。

みなさまも無理はせず、です!
母乳を飲ませられない自分のことを許してあげてほしいです。

終わりに

NICU入院中のミルクを飲ませる指導というのは、精神的に辛いものがありました。
今日はうまく飲めた、今日は飲めなかった、これを何度も何度も繰り返しました。
「退院」が想像できなかったのです。

息子は本当に退院できるのだろうか。
このままミルクを飲めず、チューブに繋がれたまま過ごすんじゃないだろうか。

さらに「器具(ホッツ床)を装着することになるよ」と言われた時も

おふとん
おふとん

なにそれ怖い

という感情が心を覆い尽くして毎日不安でした。
今ではすべてが良い思い出になっています。

あの当時私を支えてくれていたのは、周りの人たちでした。
特に子供がいる母親は本当に力強い言葉を持っています。

私の母親や、子供がいる友人たちに大きく励まされました。
何事も重く受け止めることはせず「大丈夫だよ!」といつも笑い飛ばしてくれました。

おふとん
おふとん

ミルクを吐きまって毎日大変で悲しい辛い

と嘆いていると

おふとん母
おふとん母

そのぐらい普通だよ。あんたのほうがよく吐いていたよ。吐きすぎて病気なんじゃないかと思ったら本当に病気だったんだよ

(私は生後9ヵ月の時に腸重積で腹を開く大手術をしたのでした)

おふとん
おふとん

離乳食を全然食べなくて辛いよー泣きそう

という時にも

友人まくらさん
友人まくらさん

体重がちょっとでも増えていればそれでだいじょうぶよ

母親が強いというのは本当ですな!


PART4は誠意執筆中です。
病院通いのこと、手術のこと、そして小児病棟での入院生活について書きます。

Categorized in:

Tagged in:

,